欧州商標(CTM)及び国内商標

共同体商標はEU全域にて登録されます。従って、商標の保護は全てのEU加盟国を包括します.共同体商標の申請はスペインに位置する欧州共同体商標意匠庁(“OHIM(the Office for Harmonization in the Internal Market)”)にて出願します。出願の受理にあたり、OHIMは当該出願を拒絶する普通名称又は慣用名称的な性質又は特徴の欠如等 “絶対的理由(absolute ground)”があるかを審査します。その様な理由の何れかが存在する場合、OHIMは出願人にその反論理由を提出するよう通知し、当該出願が拒絶されるかを決定します。しかしながら、如何なる第三者の異議が申し立てられなければ、OHIMは出願された商標が如何なる現存する登録された商標と同一又は類似するかにつき審査いたしません。

一方では、夫々のEU加盟国の管轄の商標登録当局及びOHIMによって各々同一又は類似の登録された国内又は共同体商標に係るデータベースの検索は行われます。OHIMは当該データベースの検索の結果を検索報告にまとめ、そして、出願人にそれと同一のものを提供します。当該検索報告は、如何なる深刻な異議が当該出願に対して持ち上がるか、出願人にとっての指針の役割をします。若し、審査が出願は異議を乗り越えられない可能性の有ることを示す場合、OHIMの検索報告の提供から1ヶ月以内に、出願人は、出願の範囲を修正する、又は、(以前の出願日を保持しながら)共同体商標出願を個々のEU加盟国に係る国内商標出願に変更することが出来ます。前述の1ヶ月の期間が切れた後は、当該出願は官報に第三者の異議の為、掲載されます。

如何なるEU加盟国の共同体商標又は国内商標の所有者又は彼らの権限が与えられたライセンシーが出願に対して異議を申し立てる為に3ヶ月間期間が御座います。当該期間の後、取り消し手続きは一定の条件の下で開始し得ます。共同体商標は全てのEU加盟国全体でのみ存在できますので、一つのEU加盟国における相反する先行商標に基づく認められた異議は、共同体商標全体の出願を拒絶させることになります。

もし、如何なる異議も3ヶ月の期間に申し立てられない場合、又は、もし異議が最終的に却下された場合、OHIMは出願された商標登録を付与します。加えまして、当該登録は又、官報に掲載され、そして、商標証明書が発行されます。

共同体商標は10年間それぞれの加盟国で有効且つ執行可能です。その期間は満了を以て延長され得ます。

国内(ドイツ)商標

共同体商標制度に加えて、それぞれのEU加盟国はそれ自身の国内商標制度を有します。関連する出願及び登録手続きは国内法により規定され、国ごとに異なります。

ドイツ商標の登録に係る手続きは共同体商標のそれに似ております。異議期間は3ヶ月、そして、異議は現存するドイツの商標又は共同体商標に基づき申請することができます。登録されたドイツ商標は出願日から始まる10年間、延長の可能性を伴い、ドイツにて有効且つ執行可能です。

共同体商標及び国内商標の関係

共同体商標及び国内商標は独立且つ同時的に存在します。即ち、企業様は現27EU加盟国のそれぞれにおいて各々商標を登録し、そして、同時に、その商標を全ての27EU加盟国にて有効な共同体商標として登録することが出来ます。国内商標の有効性はそれと対応する共同体商標の有効性に影響しませんし、その逆も同様です。

取り消しの申し立ての場合、これら二つの制度の上記の共存性は、国内商標の取り消しが事実上無効になるという状況を招き得ます。例として、もし、ある企業様がそのロゴを共同体商標及び国内商標両方として登録した場合、もし、ドイツ商標が取り消された場合でも、共同体商標によってドイツの商標保護の“隙間”は補完されます;同時に、もし、共同体商標が取り消された場合、ドイツにおける商標保護は依然継続します。その様な、重要な商標の保護を強化する為、二重の保護が事業活動の重要な分野において思慮され得るでしょう。私達のニュースに概括されておりますFIFAの“WM 2006” 商標の取り消しに関する判例は当該二重の保護戦略の例でしょう。

異議の手続きにおきまして、共同体商標制度及び国内商標制度は互いに関係が御座います。上記の如く、共同体商標出願に対する異議は如何なるEU加盟国の先行の登録商標に基づき申し立てが可能です。同時に、国内商標出願に対する異議は、先行の共同体商標に基づき申し立てが可能です。従って、特定の標章(マーク)又はその類似標章が第三者に登録されることを防ぐ観点から、当該標章を共同体商標として登録することが望ましいです。

費用及び出願期間
  • 共同体商標

    共同体商標出願に係る公的な費用は2009年5月に引き下げられました。3つのクラスの製品/サービスをカバーする出願の基本的な現行の公的費用は1050ユーロ(e-ファイリングの場合は900ユーロ)です。商標の最終登録の前に支払われなければならなかった以前の登録費用の850ユーロは完全に削除されました。

    共同体商標出願に係る弁護士(弁理士)費用は異なる弁護士(弁理士)事務所により変わります。通常、出願に係る費用は500から1000ユーロの範囲です。

    共同体商標登録は、関連する異議の手続きによりますが、通常、8から12ヶ月かかります。

  • 国内商標

    国内商標出願に係る費用及び期間は国ごとに異なります。

    ドイツにおきましては、商標出願に係る公的な費用は300ユーロ、そして、追加の登録費用は御座いません。弁護士(弁理士)費用は500から800ユーロの範囲です。ドイツにおける商標登録は通常6から8ヶ月かかります。その期間は、別に200ユーロの公的費用の支払いによって3から4ヶ月に短縮可能です。

共同体商標の長所及び短所

長所:

商標は現27EU加盟国を一つの出願でカバーすること。

もし3カ国以上のEU加盟国にて商標保護が必要な場合、(個々の国内商標出願に比較して)出費の削減及び費用効率的なこと。

短所:

国内商標出願に比較して)第三者異議によって負けるリスクが高いこと。

共同体商標の登録は、国内商標の登録より通常長い時間がかかります。この短所は、優先権を主張することで消すことが出来ます;しかしながら、一定の国における最初の登録にのみ適用されます。

戦略の組み立て

これらの全ての長所及び短所を考慮に入れ最善の商標戦略を決定されることが望ましいです。異議申し立てのリスクを低減する為、事業展開の重要な分野においては、共同体及び国内商標登録両方による二重の保護が考えられるでしょう。

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